この記事の結論
- 最初に「誰に、何を届けるための費用か」を書き、その後で8つの経費区分を選びます。
- 第20回では、広報費とウェブサイト関連費はそれぞれ補助額30万円までで、どちらもその区分だけの申請はできません。
- パソコン、車両、普段の仕入れ・家賃・人件費は対象外です。専用に使うと説明しても対象にはなりません。
先に、使う目的を書く
「看板を買う」ではなく「通りから見えにくい持ち帰り商品の売り場を案内する」と書きます。 同じ買い物でも、普段の営業用なら対象外で、今回の販路開拓(=新しい販売先や顧客を広げる取組)に必要なら候補になります。 目的→取組→費用の順で考えると、区分も自然に決まります。

費用を分ける8つの区分
第20回の公募要領(=募集のルールをまとめた公式資料)第8版に沿った区分です。例に当てはまるだけで対象になるわけではありません。
| 区分 | 対象の例 | 対象外の例 |
|---|---|---|
| ①機械装置等費 | 製造・加工の機械、陳列棚、看板の設置工事を伴わない什器 | パソコン、タブレット、スマートフォン、車両 |
| ②広報費 | チラシ、看板、新聞・雑誌の広告、DM | 会社案内、求人広告、名刺 |
| ③ウェブサイト関連費 | ホームページ、通販サイト、予約システムの制作・改修 | 単独での申請、補助額30万円超の分 |
| ④展示会等出展費 | 展示会・商談会の出展料、装飾 | 販売目的の催事(確認が要る)、飲食の提供 |
| ⑤旅費 | 展示会や商談のための交通費・宿泊費 | 日当、普段の営業の交通費、ガソリン代 |
| ⑥新商品開発費 | 試作品の材料費、デザイン費 | 販売する商品の仕入れ |
| ⑦借料 | 機器や会場の借り賃 | 自社の家賃、長期のリース |
| ⑧委託・外注費 | 店舗の改装工事、外部への業務委託 | 不動産の購入、補助事業の代行 |
広報費とウェブサイト関連費は分ける
| 費用 | 区分 |
|---|---|
| チラシ、看板、紙の広告 | 広報費 |
| ホームページ、通販サイト、予約ページ | ウェブサイト関連費 |
| 自社サイトに載せる写真・動画 | ウェブサイト関連費 |
| ネット広告 | 掲載の方法で分かれる。公募要領の例で確かめる |
どちらも補助額30万円が上限で、広報費だけ、ウェブサイト関連費だけの申請はできません。 計算の例は広報費の上限の記事にあります。
対象外として挙げられているものを、先に確かめる
| 対象外 | 理由 |
|---|---|
| パソコン、タブレット、プリンター | 汎用性が高く、目的外にも使えるため |
| 自動車、バイク、自転車 | 同上 |
| 商品券、金券、切手 | 換金できるため |
| 普段の仕入れ、家賃、人件費 | 補助事業に直接必要な費用ではないため |
| 交付決定前に発注・支払いしたもの | 時期の規定 |
| 事業実施期限の後に納品・支払いされるもの | 時期の規定 |
| 消費税 | 補助の対象は税抜 |
「この仕事専用に使う」と説明するだけで対象になる、とは考えないでください。
見積は「何にいくらか」が分かる形にする
| 悪い見積 | 良い見積 |
|---|---|
| 制作一式 500,000円 | デザイン 120,000円、印刷3,000部 180,000円、看板 200,000円 |
| 工事一式 800,000円 | 内装工事 500,000円、電気工事 200,000円、什器 100,000円 |
内訳があると、対象外の費用(パソコンなど)を分けられ、区分ごとの上限も計算できます。 50万円以上の費用は、2社以上の見積が要ります。相見積(=複数の業者から見積を取ること)は交付決定の前に済ませます。 上限を避ける目的で、実際と違う経費名に付け替えることはできません。
架空の例:宿泊業の経費の組み立て
漁港近くの民宿(従業員3人)が、釣り客向けの設備と平日の長期滞在プランを作る計画です。
| 費用 | 区分 | 金額 | 対象 |
|---|---|---|---|
| 釣り具の乾燥室の工事 | 委託・外注費 | 380,000円 | 対象 |
| 平日プランの予約ページ | ウェブサイト関連費 | 220,000円 | 対象(補助額14.6万円) |
| 釣り雑誌への広告 | 広報費 | 110,000円 | 対象 |
| 送迎用の車 | ― | 1,500,000円 | 対象外(車両) |
| 合計(対象分) | 710,000円 | 補助額 473,333円 |
車は対象外なので計画から外し、送迎は既存の車で行う形にしました。 補助額は71万円×2/3=473,333円(1円未満は切り捨て)で、上限50万円の範囲内です。
気をつけたいこと
- 発注は交付決定(=発注を始めてよいという正式な通知)の後です。見積を取るのは前でも構いません。
- 支払いは原則として銀行振込で、実績報告(=使ったお金と実施内容の報告)で振込の記録を出します。現金払いは認められないことがあります。
- 納品・支払いが事業実施期限(2028年3月31日)を過ぎると、対象外になります。
- 補助事業で買った設備には、処分の制限があります。一定期間は勝手に売ったり捨てたりできません。
区分に迷いやすい費用
| 費用 | 区分の考え方 |
|---|---|
| 看板の製作と取り付け工事 | 広報費。工事費も含めて見積に分けて書く |
| 店舗の改装 | 委託・外注費。設備(什器)は機械装置等費に分かれることがある |
| 商品撮影 | 使う場所で分かれる。チラシなら広報費、サイトならウェブサイト関連費 |
| 展示会の出展と交通費 | 出展料は展示会等出展費、交通費は旅費 |
| 試作品の材料 | 新商品開発費。販売する分の仕入れは対象外 |
| 機械のレンタル | 借料。購入なら機械装置等費 |
この記事で使った言葉
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| 販路開拓 | 新しい販売先や顧客を広げる取組 |
| 公募要領 | 募集のルールをまとめた公式資料 |
| 相見積 | 複数の業者から見積を取ること。50万円以上は2社以上 |
| 交付決定 | 発注を始めてよいという正式な通知 |
| 実績報告 | 使ったお金と実施内容の報告 |
| 補助率 | 対象経費のうち補助される割合 |
よくある質問
仕事専用のパソコンなら対象ですか
パソコンは汎用性の高い機器として対象外に挙げられています。専用と説明しても対象にはなりません。
ホームページだけを作りたい場合は申請できますか
ウェブサイト関連費だけでは申請できません。必要な取組と、ほかの区分の費用を含む計画にします。
見積に対象外の費用が混ざっていたらどうしますか
対象になる部分と分けて見積を出してもらいます。合計額に補助率(=補助される割合)を掛けないようにします。
中古の機械は対象ですか
中古品は、3社以上の見積など追加の条件があります。公募要領で確かめます。
自分で作業した分の人件費は出ますか
出ません。自分や従業員の人件費は対象外です。外部に頼んだ費用だけが対象です。
次に読む
- 広報費の上限30万円:区分ごとの計算例。
- 自己負担と資金:払う総額と入金の時期。
- 対象経費のページ:買いたいものの簡易チェック。